横浜市西区伊勢町の事務所ビルの建築現場は3か月半を迎え、
軸組の建方、鉄骨階段の取付、各階の床のデッキの敷き込み、と順調です。
と書きたいところですが、鉄骨階段の製作図が設計時のデザインが反映されていなく作り直しに。
作り直しの手間や材料費もばかになりませんが、何と言っても痛いのは約3週間の工期ロスです。
現場は当初、土曜日休みを掲げていましたがそうも言ってられない状況に。
ま、とにかく巻きでやっていきましょう。
今回は鉄骨造の醍醐味、軽快な構造の美しさについて語りたいと思います。
「建方(たてかた)」とは建物の柱梁を組み立てる過程を言い、今回は鉄骨の軸組(じくぐみ)となります。
写真を見ると分かり易いですが、まだ視線を遮る壁や床が無いのでこれが本当のスケルトン。
建物の構造のダイナミックさが伝わるかと思います。
特に、この建物の特徴として、再下階のど真ん中の柱を抜くために引っ張り材で床を吊っています。
1階の梁成(はりせい)つまり梁の大さを大きくすれば斜め材で引っ張る必要は無いのですが、
そもそもピロティ部分の天井を高くしてトラックで乗り付けたい施主の要望を満たすことができません。
(だって、車の乗り回しのために真ん中の柱を抜いたんですから)
この斜め材を「ブレース」と言います。
古い庁舎や学校に耐震補強としてブレースを入れている様をよく見かけますね。
実際は引張材と圧縮材の違いはあるのですが、斜めのベクトルから水平や垂直力に変えて補強する、という意味では一緒です。
橋梁などの構造体のようで何となくかっこいいということでなく、合理的意味があるのです。
〈合理的な形はそれだけで美しい〉という近代建築(近頃は「近代」は「古い」ことになってしまったのかも)のテーゼを思い起こします。
冒頭に書いたように、作り直した「鉄骨階段」。
鉄骨造の建物では鉄骨階段もその建築の表現になることが多いです。
今回は定番「おしゃれ階段」のギザギザ階段を付けます。
(ただギザギザが折り返すのではなく一捻りしていますが)
ギザギザを見せるためには壁側から片持ち(かたもち=キャンチレバー)で張り出さなくてはなりません。
ここでまた構造検討が必要です。
オーナーが喜びそうななるべく軽快な階段にするために薄く作ってしまうと揺れるんです(笑)
ぎりぎりの線を狙います。。まあ、多少の揺れは
床の鋼製デッキはそれだけでなく上に130㎜程のコンクリートを打つ「合成床」で構成されます。
デッキとメッシュ筋の状態で粗方の電気用の配管などを配置し、コンクリートを流し込んで養生。
鉄骨造は基礎と床にコンクリートを練るための水を使うだけなので、
RC造建築に比べ乾燥を待つ時間が少ないことで工期が圧倒的に短いというメリットがあるのです。
さて、次回ブログは外壁とサッシの取付けについて書くことになりますね。
スタディ模型はこちら